ニコニコ笑顔より怒り顔が好き?
このところ一番気になっていたことは、子どもたちの“顔”に対する興味です。小さい子は、穴や黒い丸を即座に見つけます。そして黒い丸が2つ並んだとたんに“顔”と認識し、それが活動のきっかけになることもあります。顔への興味は表情への興味とも言えます。
それは指人形を作ったときのこと。シールに顔を描いて画用紙の円錐に貼るのですが、子どもたちが気に入るシールは、きまって「怒り顔」でした。
どうして「笑顔」は人気がないのでしょう?小さなこどもには“怒り”の感情はそぐわない気がして、大変不思議で調べた結果、面白いことが分かりました。人間の顔に対して、特別に反応する脳神経細胞があり、“怒り”の表情を認知するときは、情動に深くかかわる扁桃体が役割を果たします。
扁桃体が活性化するのは、自分に向けられた誰かの“怒り”の表情が、身に降りかかる危険に関係するからです。「怒り顔」が目に入ると、海馬が記憶を呼び出し、扁桃体に過去の記憶を送ります。扁桃体はそれを“怒り”=危険!と判断して、視床下部に交感神経を活性化する刺激を送るのだそうです。そしてとっさに逃げることも出来ます。
教室のお仕事の場合、おそらく「怒り顔」のシールが子どもの情動を刺激して、興奮しました。でも怒ってもただのシールと分かったから、“危険のない怒り”=怒ってもこわくない、というギャップを楽しんでいたように思います。