優しい優しい松本静子先生の提供
郡山で行われた、日本モンテッソーリ協会の全国大会に参加させて頂きました。講演会、たくさんの先生の研究発表、ワークショップ、懇親会など盛りだくさんの勉強会です。感動したのは、松本静子先生の提供を間近に見ることができた事です。
松本先生はイタリアのペルージアでディプロマを取得後、アメリカでも研修を積まれ、1975年、日本人として初めて国際モンテッソーリ協会(AMI)の教師養成のトレーナーとして公認された方で、みんなの憧れの先生です。その方が日常、感覚、言語、数などの分野を、丁寧に丁寧に見せて下さいました。大変ゆっくり、繰り返し伝えられるのが印象的です。「くどいかも知れないけれど。くどいと感じさせないように、優しい声でね。」
例えば、数字と数詞と量の概念を一致させる紡錘棒箱(写真)の提供です。箱の数を読み、ゆっくり棒を手に取りながら数え、今度は箱に入れながら数えます。10の仕切り全てに棒が入ったら、さらに棒をゴムで束ねながら数え、片付ける時ゴムを外しながら、またゆっくり数えます。何度も何度も繰り返して、子どもの心に正確に印象づけます。
あわただしい今の時代に、忘れてしまいがちなゆっくりとした時間でした。私は子ども時代に、祖父母の畑仕事に連れて行ってもらった帰りに、一緒に野菜の束を数えたことを思い出しました。
「途中で『もう分かったから良いね』と先生が行ってしまうのではないのです。片付けのおしまいまで、大好きな先生が子どもと一緒にいてあげるんです。そんな風に、初めての提供が『楽しかった』という印象を子どもに残すのですね。」と優しくエレガントにおっしゃいました。
子どもにを取り巻く環境における、あらゆる方法を見せる〝提供〟とは、大変デリケートで、個人的で、とても暖かいものなのだと、深く胸に刻みました。