子どもが中心、レッジョ・エミリアの幼児教育
先日「レッジョ・エミリア・アプローチ」のシンポジウムに参加しました。イタリア北部レッジョ・エミリア市で行われている幼児教育は、「世界の10の先進的な学校」に選ばれたことで有名です。モンテッソーリ教育と同じく、イタリアで生まれた幼児教育で、共通点をいくつも発見しました。
第一に、子どものやわらかな感受性を出発点として、活動を組み立てるところ、
第二に、手作業の経験によって、子どもが考える方法を身につける、と定義する点、
第三に、幼児教育から大人や環境を変え、戦争のないを目指す「平和教育」の考え方、
などなど。2つの幼児教育にはいくつも似たところがありました。
しかし一つだけ大きくちがうのは、レッジョ・エミリアでは幼児教育の場は子どもだけのものでなく、大人が大きく関与する、という点です。始まりが、戦後の廃墟から親たちが最初につくったのが幼児学校だった事に由来するのかもしれません。地域産業の60%が個人経営で、まちの結びつきなくしてはなりたたないからかもしれません。
まず、保護者は幼児学校の運営に任期3年で深く関与します。子どもの活動や展示はレストランや商店、駅構内などの公共施設で公開され、そこには街の大人が当然のように関与します。(子どもたちの作品がまた素晴らしいです。)レッジョ・エミリアは「市の財産」である子どもたちの表現を、町ぐるみで受けとる場であり、人々が様々な「対話」をしながら共に成長する場、なのだと感じました。でも見ないと分からないものだから、一度は行ってみたい場所になりました。