URAWA MONTESSORI EDUCATION 子供が世界を広げる瞬間 モンテッソーリの子育て 浦和教室

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彼女が一人でしたら 手を引きなさい

私はいま、京都の​モンテッソーリコースで学んでいます。このような社会状況なので、リモート授業ではありますが、モンテッソーリ教育の第一人者の先生方から、貴重なお話を伺える機会です。

コース長の岡山先生のお話はいつも楽しくて、出会った子どもたちの生活を分析し、子どもを見るプロの目線を教えて下さいます。

ある男の子のこと。年少の三歳のとき、緑豊かな園庭でウサギやモルモットのお世話をして毎日楽しく過ごしたそうです。園庭と教室があるのですが、彼の場合一日のほとんどを園庭で過ごしたのです。お庭整備の“なかむらさん”について毎日過ごしていた彼は、いつものように窓から放りこんだ(笑)通園バッグを探しに教室に入っりました。そこで、シール貼りをしている子を見て目が釘付けになりました。「なんてきれいに貼るのかな。」枠にぴったりとシールを合わせる様子を見たのでしょう。その日から彼は、園庭だけではなく少しずつ教室に入るようになり、生活の活動を覚え、美しい感覚教具を使い、モンテッソーリの教育活動を一つ一つ覚えていったそうです。

岡山先生は「徐々にね。10個やることがあれば、最初は1つか2つかできればいいんです。その子がもう一つ出来たら、“良かったね”とうれしいんですね。」と、とても素敵な京言葉でおっしゃいます。

「登園したらカバンを棚にかけて、シールを貼って、スモックを着る。」ことを、子どもは毎日義務のように先生に教え込まれるのが当前です。でも、もしそれらを、子どもが自分で見つけた“おもしろい儀式”と感じたら、子どもたちはもっと園生活に愛着を持ち、夢中になるのではないかと思いました。

お弁当の片付けをしない女の子のお話がありました。その子はやはり元気なお嬢さんで、いつも食べた食器そのままで遊びに行ってしまいます。床を見たらこぼしたもので散らかっています。「さぁ、どう教えようか。」と先生は考えられて「ね、やってあげるから。おいで。」と声をかけたそうです。

片付けを一人でするには、順番が大切です。その子の道具に合わせて、お箸→コップ袋→お弁当箱の順に整えて、最後は包みを一緒に結びます。この工程を毎日毎日たがえず一緒にしながら、少しずつ少しずつ、その子が出来るように手伝われたそうです。

「お箸の箱みてごらん、溝があるでしょう。ここに蓋を入れるのよ。」「布のこっち持ったら、こっち引っ張ってくれる?ほら出来た。」と、仕組みも見せながら何度も何度でも教えます。

ある日、先生が忙しくて他の子を手伝ってその子のそばにいられない時、女の子はそっと自分のお弁当箱を黙って片付けたそうです。それもひとりで!先生はどんなに嬉しかったことでしょう。でも、このお話の意図はそこではありませんでした。

「子どもが一人でしたら手を引きなさい。」と先生は言いました。「彼女は一人で出来たのだから。」もし彼女がまた困ったらさりげなく手伝えばいい、今は彼女の仕事を称えましょう、ということです。

子どもの気持ちと生活を大切に、何度も何度も手伝ってようやく“はじめの一歩”が出たときにはブラボーと称えて手を引き、一歩下がると静かに寄り添う。それがモンテッソーリの先生なのかと思います。