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3歳未満児の「愛着」について

 

「仕事が忙しくて子どもを親が見てあげられていない。」と心配する保護者の方に、ぜひ知ってほしいことがあります。埼玉大学の清水由紀先生の「発達心理学」の講義から大切なことを学びました。「発達心理学」とは、私たち人間が生涯を通じて、成長・発達することを研究する心理学の一分野です。そのなかの「愛着」についてのお話です。

「愛着」は、人が特定の誰かに対して持つ情緒的な絆です。それは人間の赤ちゃんが進化の過程で獲得したメカニズムと密接に関係があります。人間は生まれた時、歩くことも食べることもできず、視力も弱く、身体を守る毛皮も持たない弱い生き物です。

でも赤ちゃんが毎日元気に生きられるのは、一言で言うと親と「愛着」で結ばれるからです。親からすれば、フワフワして、いい匂いがしてニコニコ笑って可愛い。その可愛さこそ、赤ちゃんが進化の過程で獲得した能力です。生まれたばかりの赤ちゃんは相手が見えてなくても笑います。見えるようになったら、パパやママの表情をまねて笑います。こうして赤ちゃんと親の絆は作られていきます。

親子の絆に関しては、ボウルビイの「愛着理論」が有名です。それは「生後3~12カ月の期間の良好な母子関係が、子どものその後の人格形成や精神衛生の基盤になる。」という考え方です。だから生後1年以内は母親が育てることが重要というものです。よく似たものに「3歳児神話」があります。そして「母親が育てないと、立派な大人に育たない。」という考え方がお母さんたちの定説になりました。

ところがその後、たくさんの研究者がこの説に異論を唱えました。ボウルビイの調査した施設が、質の良くない保育所だったこと、ほかの研究で母親が育てた子どもと、保育所に通った子どもに愛着の質の差が全くないことも分かりました。それらから「3歳児神話」を支持する根拠はない、と結論付けられました。でもその結論はあまり知られていません。

離れていても親と子どもの間には、大変安定した愛着が形成されます。むしろ、子どもの日常の中で、母親一人が“大好きな人”であるより、たくさんの大人が“大好きな人”である子の方が精神的に安定し、社会性が伸びると言われます。

ですから3歳までは母親がという定説を気にする必要はないのだそうです。